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映画「子どもが教えてくれたこと」

 梅雨になりました。「ああ、雨でいややなー」とあまり思わないようにして、淡々と移ろう季節を感じていけたらと思います。いい加減ながら俳句を長くやっていると、季語のなかに新しい季節の表現をみつけるとうれしくなります。陰暦六月は「水無月」。大好きな和菓子の名前ですが、「風待月」「常夏月」「青水無月」とも言うようです。なんか入梅から、梅雨冷があり、梅雨明けを待ち、京都では「夏越の祓」というお祭りがあったりと楽しみもいっぱいです。紫陽花も彩を添えてくれますが、なにより若葉が瑞々しくて、命のいぶきを感じます。梅雨万歳と思いましょうか。

 世の中はといいますと、なかなかつらいニュースが続きます。安心であるべき家庭で小さな女の子が酷い目にあい命が奪われました。悲しすぎます。
 そんな時に試写で見たのが、この映画「子どもが教えてくれたこと」です。主人公は重い病気を患う5人の子どもたちです。監督は自身も難病で子どもを亡くされたというまだ若いフランス人女性です。
 ところが、映画を見ている間、なんとずっと笑っていた気がします。なぜかというと、子どもたちがずっと笑っているのです。もちろんつらいシーンもあります。それよりもこの映画のいちばんの驚きは、どんな状態であれ子ども達は、自分自身の主人公なのです。
 小さなからだで、背負いきれないほどの病を抱えながらも、まわりの大人たち、医者、看護師、家族が彼らを病人としてではなく一人の人間として尊重し支えているのです。そして彼らのやりたいことを応援します。その圧倒的な姿勢には頭が下がります。
 医師たちは、病状を説明する時は、必ず子どもたちと向き合います。例えば手術のこと、薬のこと、すべて子どもに向かい話し理解を求めます。親たちはそばでただ聞いています。こういう姿勢は、ほぼ今の日本では見受けられないのではないでしょうか。
 
 この映画はフランスで23万人を動員するという大ヒットでした。すべての病気が治るわけではないし、幼くして死を迎える子どもたちもいます。けれども彼らは、かわいそうな子どもと呼べない強さと、他者への深い愛を持っています。それは驚くべきことです。
 わたしたちも、いつ何が起こるかわからない不安な世界のなかに生きています。例えば予期せぬことが起こったとき、そのことにどう向き合っていけるのか、この映画のタイトルのごとく、子どもたちは教えてくれます。ドキュメンタリーですから、見た人それぞれがストーリーや世界観を感じられることでしょう。ぜひ体感してください。
 
 監督は「濡れた砂の上の小さな足跡」(講談社)という本も出しており世界各国に翻訳されています。「異染性白質ジストロフィー」という難病に、幼い二人の娘が罹患するという、衝撃的な内容ですが、映画と同じく彼女の明るく冷静な強さが、よくある難病ものの世界とは一線を画しており、やはり最後は「愛」が残るという、当たり前のようで、厳しくむつかしい世界を届けてくれます。読み終わったとき、涙ではなく心の奥深くに「信頼」ということばが浮かんできました。言うのも恥ずかしいですが、あえて言います。やはり世界には「愛」が必要なのです。
 安心して新幹線で居眠りや読書をしたり、なにより子どもたちが家でわがままを言える社会を、何としても守らなければと思うのですが、まだ間に合うはずですよね。(せ)
  ★7月14日(土)★シネリーブル梅田公開★
 
 
 

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