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2017年・YA本その一

 テレビでは、一年間を振り返るワイドショーがかしましく、もっと大事なニュースがあるやろと、一人突っ込みをいれております。相撲協会ももうわかったよ。。。暴力はあかんということです。しかし、世界から暴力はなくならない。そのことを深く考えさせられる本たちです。

「太陽と月の大地」 
 コンチャ・ロペス=ナルバス作 宇野和美訳 松本里美画 福音館書店。2017・4・15初版
 福音館の出しているリーフレット「あのね」4月号に大きく紹介されており、読んでみたいと思いながら、なかなか読めず。でも読みだしたら早かったという挿絵の美しい小ぶりの本です。 
 スペインで1986年「20世紀100冊の子どもの本」に選ばれ、30年以上読み継がれているという本です。訳者の宇野和美さんが、1988年マドリッドの本屋で「子どもに読まれている本10冊」を選んでもらった本の中の一冊であり、いつか出したいと思っていたそうです。そして今回やっとわたしたちも読むことができたのです。やはり英語圏以外の子どもの本の旅は長いですね。
 舞台はアルハンブラ宮殿のあるグラナダ、時は16世紀です。1492年スペインでは、イスラム王朝が支配していたグラナダは、スペインを統一したカトリックの王によって制圧されました。当初は寛容な政策が取られ、イスラム教徒もキリスト教徒も同じ土地で共に暮らしていましたが、やがて強硬な同化政策によりイスラム教徒たちは反乱を起こします。
 
 このような時代背景のもと、主人公であるマリアとエルナンドを取り巻く家族や友人たちの悲しくも激しい物語です。登場人物の名前がややこしいのですが、ロシア小説のように、冒頭に人物表と地域の地図が掲載されており、わかりやすくなっています。
 登場人物は架空の人物ですが、まわりで起きる事件や、社会的状況は歴史的事実らしく、とても臨場感があります。挿絵も美しく歴史物語ですが、現代社会とリンクして、とてもリアルに感じます。民族や宗教の対立は乗り越えることはできるのか。。。
 歴史的事件の中で、人々は何を選択しどう生きてきたのか。今の時代にもつながるメッセージが込められています。悲しい結末ですが、どんな状況でも人は人とつながっていけるという、希望のメッセージも感じます。
 今スペインで起きている、カタルーニャ地方の問題も、深くて長い歴史背景があるのでしょうね。地続きのヨーロッパ。一神教の宗教的背景。厳しいです。
 世界は広く知らないことは多すぎますが、平和でさえあれば、人間は愛しあいつながりあえるということは信じたいものです。
 ラスト「太陽と月の大地」というかっこいいタイトルの意味が明かされます。訳者の宇野和美さんお本は「雨あがりのメデジン」という素晴らしい本もあります。
作者は、1939年セビリーャ生まれ、歴史の教師を経て児童文学作家となったそうです。よくぞ日本にいらっしゃいました。感謝でーす。(せ)
 

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